食べる・歩く・排泄困難、加齢による病に対応
2000年前後に始まった一大ペットブームで家族の一員になった愛犬たちも高齢になり
家族の新たな支えを必要としています。
既存の高齢犬本では
「歩けなくならないように気をつけましょう」
「歩けなくなると食事も排泄も困難になります」
と一言記される程度で、飼い主さんが一番知りたい
「具体的な対処方法」が欠落していました。
本書は人間の介護と同様に
愛犬が「自分で歩けない、食べられない、排泄ができない」状態
になってからこそが本の出番と考え
時々刻々変化する愛犬の体調をいかにサポートすればよいか
飼い主さんが一番知りたい部分に焦点を定め
介護の基礎理論、実践方法を紹介しております。
当たり前のことですが、生きるために必要なのは、きちんと食べて、きちんと排泄することです。
そのためには
●食事がきちんと摂れる「正しい姿勢」づくり
●「食事形態」への配慮
●「食欲をそそる食材や風味」の選別
●「少量でも高カロリーな食事」づくり
●「排泄がしやすいサポート方法」
などの情報が欠かせません。
さらに本書では、人間の高齢者同様に、噛む・飲み込むが難しくなった高齢犬が陥るおそれのある「嚥下障害(えんげしょうがい)」や
自分で寝返りが打てないことによって皮膚に傷ができてしまう「床ずれ」防止方法
床ずれができた場合、人間の介護現場では当たり前に行われている「湿潤療法(しつじゅんりょうほう)」などについても
わかりやすく解説してあります。
また、本書のもう1つの柱は
を紹介している点です。
人間の場合、自分で食べられない、歩けなくなってもきっちりサポートしてもらえるのが当たり前です。
そのノウハウを愛犬に適応する方法がこの1冊でわかります。
また、介護は愛犬の体調によって臨機応変に対応することが必要です。
たとえば
●立ち上がって数歩歩いて倒れる「行き倒れ期」と
●ある日訪れる「自力で立つことができない寝たきり期」
では、必要な道具も接し方も、まったく対処が異なります。
食事も「手伝えば食べられる時期」と「口の中に食事を入れてあげる時期」では食事の形態が異なります。
排泄も脚が弱いだけなら、ミニ毛布などで胴体をやさしく支えて介助をすればよいのですが
自力で出せない場合は、白色ワセリンをつけたビニールなどで
肛門をマッサージし、排便介助を行う必要があります。
住環境の整備、食事・排泄介助、だんらん参加やおでかけの実践方法なども、ぜひ参考にしてみてください。
最後に、高齢犬の介護に正解はありません。
個々のケースに合わせた対応が必要となります。
だからこそ、豊富な先人の知恵・経験談をまとめた本書はお役立て頂けると確信しております。
ぜひ「愛犬のための症状・目的別・高齢犬ケア百科」をご活用下さい。
はじめに
愛犬の現状をチェック
・高齢犬と今までとの違い
・習慣にとらわれず、体力に合わせた対応を
・高齢犬にやさしい部屋づくり
・高齢犬にやさしい寝床づくり
・高齢犬の身体のお手入れ
・『床ずれ』を作らないために
・『床ずれ』防止に欠かせない配慮
・傷は消毒せずに水洗い
・傷は乾燥させない!
・傷を速やかに治す『湿潤療法』
コラム 床ずれができやすい場所
■高齢犬が安全で食べやすい、美味しい、食事の工夫 今までと違う食事のケア
・食べてくれることが第1条件
・Point 1. 高たんぱく質
・Point 2. 少量でも高エネルギー
・Point 3. 排便を助ける食物繊維
・Point 4. 脱水を防ぐ水分補給
・食べる前の準備
・リスク管理
・高齢犬ごはんに必要な配慮
・高齢犬ごはんに必要な道具
・食べさせ方の工夫
コラム 高齢犬ごはん作り方のコツ
■食べる・歩く・排泄困難・室内環境の整備等 愛犬ケア実例集
●ケア実例1 長年の介護職経験を活かして
・後ろ脚に力が入らなくなる時期
・行き倒れ&排泄問題開始時期
・自力で歩けなくなり、立つのにサポートがいる時期
・寝たきり時期
・足腰が弱くなってからの 室内環境整備
・笑顔・気力を失わせないために お出かけの工夫
・こまめな寝返りが必要 床ずれ予防と治療法
・少量で高栄養を心がけた 介護食のレシピ
・きちんと食べて、きちんと出す 食事、排泄介助
●ケア実例2 動物専門学校で得た知識を活かして
・後ろ脚に力が入らなくなる時期
・行き倒れる時期
・自力で歩けなくなる時期
・寝たきり時期
・ぶつかる、はさまるを防止する 室内環境整備
・床ずれ防止、無理のない姿勢維持 睡眠姿勢の工夫
・排泄介助と皮膚のケア 排泄・お手入れの工夫
・食べたくなる気持ちづくりも大切に 食事・介護の工夫
・足腰が弱くなってからの 移動サポート
●ケア実例3 先端医療や介護現場取材で得た知識を活かして
・後ろ脚が弱くなり始めた時期
・食事ルール、レシピ見直し時期
・行き倒れ時期
・頑張っても立ち上がれない時期
・行き倒れ期・寝たきり期の 室内・車内環境の整備
・安全で不快感のない姿勢づくり 食事・睡眠姿勢の工夫
・筋力が低下してからの 排泄サポート
・正しい姿勢で安全な食事 食事・介護の工夫
・食べたくなる気持ちづくりを大切に 団らん参加をサポート
●ケア実例4 介護食・ケアマネジャー経験を活かして
・後ろ脚に力が入らなくなる時期
・排泄介助が必要になり始めた時期
・立てなくなり、寝返り介助が必要な時期
・床ずれ、ケガ防止の心がけ
・食べたくなるメニューを作る 食事の工夫
コラム ロンくんオススメ大型犬用カート
■教えて!須崎先生 手作り食の疑問・不安Q&A
・高齢犬食の考え方
・知っておきたい嚥下障害について
・誤嚥を疑うサイン
・手作り食が初めて。栄養不足が心配です
・犬に野菜をあげたら危険とききました
・酵素が摂れる生食・生肉が良いとききました
・オーガニック、無添加表示なら安心!?
・ドッグフードに含まれる栄養分は!?
・ドッグフードの成分を身近な食材に置き換えてみよう
・結局、高齢犬の健康によい食べ物って何?
コラム 犬に与えてはいけない食べ物
■突然の症状にとまどわないために 高齢犬の疾病ケア
・耳血腫
・てんかん発作
・突発性前庭疾患
・急に立てなくなった
・排便困難
・排尿困難
・肉球や鼻の皮膚が剥がれる
・床ずれ、皮膚のうっ血